世界のエネルギー消費は、経済成長と共に増加してきました。石油換算では、1965年の37億トンから年平均2.4%で増加し、2022年には144億トンに到達。2022年のエネルギー消費は、前年比で1.1%増加となりました。

経済成長と共にエネルギー消費は増加するため、今後は途上国の発展により、途上国におけるエネルギー消費の増加が予想されます。現在の主流エネルギーである化石エネルギーは、消費の際にCO2を排出します。多くのエネルギーを消費すると、その分多くのCO2が排出されるため、途上国はエネルギー効率を高めることが重要となっています。また、日本を含む先進国は、そんな発展途上国を手助けすることも求められています。

2022年の世界のエネルギー消費をエネルギー源別に見てみると、石油が31.6%で最大シェア、次点で石炭の26.7%、天然ガスが23.5%、再生可能エネルギーが7.5%となっています。エネルギー消費全体に占める割合はまだ多くない再生可能エネルギー分野ですが、気候変動問題もあり、特に太陽光や風力は近年急速に伸びてきています。

化石エネルギーの動向

石油エネルギーから見る世界の動向

世界の石油確認埋蔵量は、2020年末時点で約1.7兆バレルで、可採年数は53. 5年となっています。2020年末時点で、世界最大の確認埋蔵量を有するのはベネズエラで、そのシェアは17.5%です。2位はサウジアラビアで17.2%、3位はカナダ、その後はイラン、イラク、ロシア、クウェート、アラブ首長国連邦と続き、主に中東諸国だけで世界全体の確認埋蔵量の約半分を占めています。

世界の原油生産は、第一次オイルショックが発生した1973年から2022年にかけて約1.6倍に拡大。特に北米や中東エリアで生産が拡大しました。OPEC産油国(サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦、ベネズエラ等)の世界全体の原油生産に占めるシェアは、1990年代以降は40%ほどです。非OPEC産油国の中でも特に米国は、シェールオイル生産の技術革新により急速に生産を拡大させており、注目が集まっています。

世界の石油消費は経済成長とともに増加し、1973年の5,573万バレル/日から、2022年には9,731万バレル/日となりました。石油は様々な用途で消費されますが、特に輸送用としての消費が大きな割合を占めており、2021年における世界の石油消費のうち、62%が輸送用となっています。

世界の石油貿易は、石油消費の増加とともに拡大しています。2022年の世界全体の石油貿易量は7,028万バレル/日で、そのうち日米欧による輸入が38%を占めました。輸出面では、中東からの輸出が全体の35%を占め、最大のシェアを誇っています。その中東からの輸出のうち74%がアジア大洋州向けであり、中東にとってアジア大洋州が最大の市場となっています。中東以外では、北米、CIS諸国、アフリカ、中南米等が主要な輸出地域となっています。

ガス体エネルギーから見る世界の動向

ガス体エネルギーには、油田の随伴ガスや単独のガス田から生産され、メタンを主成分とする「天然ガス」と、油田や天然ガス田の随伴ガス、石油精製設備等の副生ガスから取り出したプロパン・ブタンを主成分とする「LPガス(液化石油ガス)」があります。

「天然ガス」の世界の確認埋蔵量は、2020年末時点で188.1兆㎥。中東のシェアが40.3%と高く、欧州・ロシア・その他旧ソ連邦諸国が31.8%で続いています。また、2020年末時点の天然ガスの可採年数は、48. 8年です。世界の天然ガス消費は、1990年から2022年にかけて2倍に増加しています。天然ガスは、石炭や石油に比べて環境負荷が低いため、その利用が拡大してきました。

世界の「LPガス」の生産は、2011年から2022年にかけて年平均2.9%で増加しました。世界のLPガス消費も増加傾向にあり、最大消費地域であるアジア大洋州における消費が特に大きく増加しており、2011年から2022年にかけて1.8倍となっています。

石炭エネルギーから見る世界の動向

石炭の確認埋蔵量は2020年末時点で10,741億トン、可採年数は139年です。石炭は、米国、ロシア、豪州、中国、インド等に多く埋蔵されており、石油や天然ガスと比べて地域的な偏りが少なく、世界に広く賦存しているという特徴があります。

世界の石炭生産は、2000年の石炭生産は46.4億トンでしたが、2013年には79.9億トンに達する等、特に2000年代に大きく増加しました。2022年の石炭生産は過去最高となる86.1億トンとなっています。2022年の石炭生産を国別に見ると、中国が世界全体の半分以上を占めています。次いでインド、インドネシア、米国、豪州が続いており、これら上位5か国のシェアは約8割となっています。

世界の石炭消費は、2013年にかけて中国やインドを中心に増加しました。2022年の石炭消費は過去最高となる84.0億トンとなっています。2022年の石炭消費を国別に見ると、中国だけで世界全体の半分以上を消費しています。つまり、中国は石炭生産も石炭消費も、どちらも世界全体の半分以上を占めていることになります。

非化石エネルギーの動向

非化石エネルギーには、「原子力」「再生可能エネルギー」があります。

原子力エネルギーから見る世界の動向

1951年に米国において世界初の原子力発電が開始されて以来、二度のオイルショックを契機に、世界各国で原子力発電の開発が積極的に進められてきました。世界の原子力発電電力量は、原子力発電の開発に伴い、2000年代にかけて増加傾向でしたが、2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて日本の原子力発電電力量が減ったため2010年代前半に減少しました。

再生可能エネルギーから見る世界の動向

再生可能エネルギーは、化石エネルギー以外のエネルギー源のうち、永続的に利用できるものを用いたエネルギーのことです。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが挙げられます。

世界のエネルギー需要が急増していることを背景に、従来通りの質・量の化石エネルギーを今後も安定的に確保し続けることが困難であること、気候変動対策を進めていく観点から、石油依存からの脱却を図るため、近年、世界中で再エネの利用拡大に向けた取組が進んでいます。

再エネへの投資は近年飛躍的に増加しており、2022年には世界全体で5,000億ドル近くの投資が行われました。地域別に見ると、特に中国の投資額が急激に増加しています。また、再エネへの投資を発電方式別に見ると、太陽エネルギーと水力に投資が集中しています。

太陽光エネルギーから見る世界の動向

世界における太陽光発電の導入は、特に2000年代後半から加速しており、2022年の累積導入量は11.8億kWに達しました。2022年の累積導入量を見ると、日本は中国、米国に次いで世界第3位となっています。また、太陽光発電市場が大きく拡大したことで、発電設備の導入コストが低下しており、近年では新興国を含め、世界中で導入が広がっています。

風力エネルギーから見る世界の動向

世界における風力発電の導入量は、右肩上がりに増加しており、2022年の累積導入量は9.0億kWに達しました。導入量が最も多いのは、世界全体の約4割を占める中国で、これに米国、ドイツ、インド、スペインが続いています。

バイオマスエネルギーから見る世界の動向

バイオマスは、発電用の燃料としての利用に加え、輸送用や暖房・厨房用の燃料としても用いられています。欧米等の先進国では、持続可能なバイオマスの利活用基準を設定した上で、活用を進めている国が多く存在します。欧米等の先進国では、持続可能なバイオマスの利活用基準を設定した上で、活用を進めている国が多く存在します。

バイオマスの利用に関しては、特に運輸部門における石油依存の低減や温室効果ガスの排出削減を目指した政策が打ち出されています。

水力エネルギーから見る世界の動向

世界で最も導入が進んでいる再エネ発電が、水力発電です。水力発電設備が最も多いのは中国で、世界全体の約3割を占めています。2022年の国内の総発電量に占める水力発電の割合は、中国が15%、日本が8%、米国が6%となっていますが、水力発電が91%を占めるノルウェーのように極めて高いシェアを持つ国もあります。

地熱エネルギーから見る世界の動向

世界の地熱発電設備は、2022年時点で1,462万kWが導入されています。最も多く導入されているのは米国で、次いでインドネシア、フィリピン、トルコが続きます。

日本では、2022年時点で44万kWが導入されており、世界第10位となっています。なお、欧州大陸では地熱発電を利用できる地域が少なく、地熱を活用しているのはイタリア等に限られています。

国際的なエネルギーコストについて

国際石油市場は、北米・欧州・アジアの3つに大きく分類されており、各市場において、基準価格となる指標原油が確立されています。世界では数百種類の原油が生産されていますが、各国が産油国から原油を購入する際の価格は、例えばサウジアラビア等においては、指標原油の価格に一定の値を加減する方式で決まるのが通例となっており、その加減値については、指標原油との性状格差により決定されます。

石油製品の価格においては、日本、米国、英国、フランス、ドイツにおけるガソリンと自動車用軽油の小売価格を比較すると、ガソリン価格については高い順に、フランス、ドイツ、英国、日本、米国となっており、軽油価格については、フランス、英国、ドイツ、米国、日本の順となっています。

石炭価格は、石炭の需給状況が反映されます。通常、一般炭であれば発熱量が高いほど、原料炭であれば粘結性が高いほど価格が高くなり、また、賦存量の少ない原料炭の方が一般炭より高値で取引されます。

世界の天然ガス・LNGの主要市場は、石油と同じく北米・欧州・アジアの3つです。その価格決定方式は各市場で異なっており、石油のように指標となるガス価格がこれらの市場全てに存在しているわけではありません。ガス市場の自由化が進んでいる米国や英国では、それぞれの国内の天然ガス取引地点での需給によって価格が決定されています。

ガス料金については、原料となる天然ガスの自給率やその調達方法、消費量の多寡、国内の輸送インフラの普及状況、人口密度、為替レート等、国によって異なります。ガス料金の単価についても様々な要素で構成されていることから、各国の単純な料金比較は難しくなっています。

電気料金はガス料金と同じく、発電のための燃料の調達方法や、電源構成、消費量の多寡、国内インフラの普及状況、人口密度、為替レート等は国によって異なるため、単純な比較は困難です。どの国も電気事業の効率的な運営と、電気料金の低減に向けた努力が必要と言えるでしょう。

世界のエネルギーは、時代に合わせて変化

世界のエネルギー事業について詳しく見てきました。世界のエネルギーは、時代に合わせて変化してきました。気候変動問題が世界的にもキーワードとなっている現代において、エネルギー業界の中でも特に再生可能エネルギーは重要となってきています。世界的に見て、再エネ関連の発電施設が増えていることも、上に述べた通りです。

そんな再生可能エネルギー業界の事業者であるリニューアブルジャパン社では、共に働く仲間を募集中です。気になる方は求人をご確認ください。