再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを発生しない脱炭素エネルギー源です。日本は、2030年までに温室効果ガス削減することや、2050年までにカーボンニュートラル社会を実現することを目標としています。そのために、脱炭素エネルギー源であり、国産エネルギー源でもある再生可能エネルギーは、最優先で導入を進められています。再生可能エネルギーの導入を拡大するためには、国民の負担を抑制することと、地域との共生を図ることが重要です。

世界的に見ると、再生可能エネルギーは、導入拡大に伴って発電コストが低減しています。ですが、日本の発電コストは国際水準と比べるとまだまだ高い水準にあります。電力の固定価格買取制度(FIT制度)が導入されたことによって、再生可能エネルギーの導入は急速に拡大したものの、再生可能エネルギーの導入水準の達成に向けては課題が残っています。

太陽光発電の導入

再生可能エネルギーの中でも、導入までのリードタイムが比較的短いのが、太陽光発電です。そのため、再生可能エネルギーの導入水準の達成においても、太陽光発電が重要な鍵となっています。地域と共生した太陽光発電の導入を促進するため、各省庁が連携して、公共施設や住宅、工場・倉庫の屋根等への導入、空港の再エネ拠点化等に取り組んでいます。また、今までは設置が不可能だった耐荷重の小さい屋根やビルの壁面等への設置ができるようになる、軽量の次世代型太陽電池についても、早期に社会実装できるよう取り組まれています。

一方で、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、 安全面や防災面、景観や環境への影響、将来的な設備廃棄等に対する地域の懸念や、FIT調達期間の終了後に事業継続や再投資が行われず、持続的な再エネの導入・拡大が停滞することへの懸念が高まっています。こうした懸念を払拭するため、関係省庁では、課題を解消するための提言がまとめられ、周辺住民への説明会を開催する等、様々な取り組みが行われています。

洋上風力発電の導入

2050年のカーボンニュートラル社会の実現のためには、太陽光発電だけでなく、洋上風力発電の導入の促進も重要です。

洋上風力発電には様々な特徴があります。洋上は陸上よりも風況が比較的優れているため、設備利用率をより高めることが可能です。また、輸送制約等が小さいため、大型風車の設置が可能であり、建設コスト等を抑えることができます。そのため、コスト競争力のある再エネ電源であるとも言えます。このような特徴のある洋上風力発電は、世界的にも導入が進められている再エネ電源のひとつであり、全風力発電導入量の約6%を占めています。周囲を海で囲まれた日本において、立地的制約を克服することのできる洋上風力発電の導入は必須とも言えるでしょう。

次世代電力ネットワークの形成のために

日本の電力系統(送配電網)は、これまで主に大規模電源と需要地を結ぶ形で形成されてきました。しかし、これは再生可能エネルギーの立地ポテンシャルのある地域とは必ずしも一致しておらず、再エネ導入拡大に伴って大きな課題となっています。

太陽光発電や風力発電といった再エネ電源は、天候や日照条件等の自然環境によって発電量が変動する特性があります。地域内における発電量が需要量を上回る場合には、電力の安定供給を維持するため、発電量の制御が必要となる場合もあります。

2018年10月には、九州エリアにおいて本土初となる再エネの出力制御が行われました。そんな出力変動の調整力を効率的かつ効果的に確保することが、大量の再生可能エネルギーを電力系統に受け入れるための特に重要な課題となっています。

この課題への取り組みとして、2023年12月に新たな「再エネ出力制御対策パッケー ジ」がとりまとめられました。このパッケージでは、出力制御時に再エネが優先的に活用される仕組みが措置されています。再エネの出力制御が 必要最小限のものとなるよう、制度環境の整備を進め、さらなる導入拡大が進められています。

再生可能エネルギー導入への具体的な施策

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、日本ではあらゆる取り組みが進められています。

エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律

産業界において徹底した省エネを推進すると共に、産業界全体でカーボンニュートラルに整合的な目標を立てることで、CO2削減効果もある非化石エネルギーの導入拡大に向けた取組が大切です。そこで、2023年4月に施行された「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」では、具体的な枠組みとして下記があげられています。

  • 非化石エネルギーへの転換の適切かつ有効な実施を図るため、非化石エネルギーへの転換の目標及び当該目標を達成するために取り組むべき措置に関し、事業者の判断の基準となるべき事項(以下「判断基準」という。)を定めて公表し、事業者に対して判断基準に沿った取組を求める
  • 一定規模以上の事業者(特定事業者等)に対して、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の作成及び非化石エネルギーの使用状況の定期の報告を求める
  • 必要に応じて指導・助言や、非化石エネルギーへの転換の取組状況が判断基準に照らして著しく不十分な場合には、関連する技術の水準等を勘案した上で勧告、公表を行う

農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再エネ法)

農山漁村再エネ法を積極的に活用し、農林地等の利用調整を適切に行いながら、市町村や発電事業者、農林漁業者等の地域の関係者の密接な連携の下、再エネの導入とあわせて、地域の農林漁業の健全な発展に貢献する取り組みを促進しています。

地域脱炭素化促進事業制度

2021年に改正された地球温暖化対策推進法において、市町村が策定する地方公共団体実行計画では、地域脱炭素化促進事業制度が設けられています。これは、地域の合意形成を図りながら、環境に適正に配慮した再エネ促進区域を定め、地域と共生する再エネの導入を促進するものです。

2023年10月時点では、全国の計16の市町村で促進区域が設定され、環境保全と地域経済への発展等を考慮した地域脱炭素化促進事業計画の認定も始まる等、広がりを見せつつあります。

他にも、再生可能エネルギー事業の予算を増やしたり、税金の軽減措置が行われたり、融資が行われる等、導入拡大に向けて多くの取り組みがなされています。

2050年のカーボンニュートラル社会の実現のために

2030年までに温室効果ガスを削減することや、2050年のカーボンニュートラル社会の実現のために、重要となる再生可能エネルギーの導入拡大。太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマス等の電源について、FIT制度をはじめとしたあらゆる政策を行いながら、発電コストの低減や、地域との共生しながら事業に取り組むことが今後も重要になってきます。

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