電気主任技術者の独立が失敗する理由4つ
電気主任技術者の独立は、慎重に検討しましょう。
実際に独立して「失敗した」という声も多くあります。
以下で、失敗する要因を4つ解説しますので、独立前に必ず確認してください。
安定するまでに時間がかかる
電気管理技術者として独立した後に安定した収入を確保するには、営業努力が不可欠です。
独立後は自力で仕事を見つけていかなければなりません。
一方で、正社員であれば自分で営業をしなくても、会社が仕事を獲得してきてくれます。
もし正社員から独立を検討しているなら、今までどおりの安定した収入を得るまでには時間がかかると考えておきましょう。
高い技術力を求められる
独立すると、会社の看板を使えなくなるため、自身の実力がより問われるようになります。
なぜなら、仕事を発注する側からすれば、組織で活動している会社に依頼する方が安心できるからです。
会社に依頼するよりも自分に依頼してもらうためのメリットを感じてもらうために、ハイレベルな技術を身につけておかなければいけません。
勤務体系が不規則になってしまう
電気主任技術者として独立すると、不規則な生活になるケースがあります。
24時間稼働する電化製品からのトラブルが昼夜を問わず発生し、設備故障や停電などの緊急事態に迅速に対応する必要があるためです。
特に医療現場などの人命に関わる場所では、電気主任技術者の即座の対応が欠かせません。
これらの長時間勤務や夜間作業が続くことで、体調管理ができなかったりプライベートな時間を確保できなかったりする恐れがあります。
経営についての理解が必要になる
独立をするということは、経営者としての能力も求められるということです。
これまで会社側が行っていた「税金・保険・給料」などの計算もすべて自分で行わなければなりません。もし数人のスタッフを雇ったり依頼したりする場合には、組織をまとめる能力も求められます。
電気主任技術者が独立して失敗しないためには営業が大切
電気主任技術者として失敗しないためには、営業力が不可欠です。
営業が上手くいけば、上記で解説した「安定するまでに時間がかかる」「高い技術力を求められる」を解決できます。以下では、失敗しないための営業方法について解説します。
電気管理技術者協会に登録する
独立後に、「人脈がない」「スキルを高めたい」という場合は、電気管理技術者協会への登録がおすすめです。電気管理技術者協会は、会員の電気保安技術向上を目指す協会で、多数の人材が所属しています。行政と協力しているので、各種研修会や講習会への参加、資格取得の支援を受けられます。
また、独立に関する情報が得られ、同業者とのコミュニケーションを通じて案件の紹介を受けられるなどのメリットもあります。技術力の向上と案件獲得の両面で大きなメリットとなるので、独立後は登録を検討してみましょう。
エージェントを利用する
独立後の営業方法の一つとして、エージェントの利用も検討してみましょう。エージェントを利用すれば、自身がコミュニケーションが苦手だったり、受注が安定しなかったりする場合でも、自分に合った案件を見つけやすくなります。
とくに電気主任技術者の資格を持つ電気管理技術者であれば、仕事の幅が広く、収入や業務内容などを比較的自由に選べます。人手不足により、エージェント側には多くの案件が入っているため、より良い案件を見つけられる可能性は高いです。
独立の失敗が不安なら正社員も再検討してみましょう
電気主任技術者としての独立に不安を感じるなら、正社員も再検討してみてください。
正社員であれば安定した収入を得られますし、自分で仕事を獲得する必要がありません。
以下で、正社員ならではのメリットを解説しますので、改めて独立か正社員かを検討してみてください。
ビルメン三種の神器を取得すれば高収入を目指せる
ビルメン三種の神器といわれる「ビル管理士・エネルギー管理士・電験三種」の資格を取得しておくと、好待遇で迎えてくれる可能性があります。
3つの資格をもっておけば、幅広い要望に応えられ、こなせる案件の数も多くなるためです。
それぞれの資格の役割は、以下のとおりです。
- ビル管理士…一定規模以上の建物での選任義務をもてる
- エネルギー管理士…建物のエネルギー設備の維持管理や省エネの改善などを担える
- 電験三種…出力5000キロワット以上の発電所を除く、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安の監督を行える
企業にとって非常に有用な人材として評価されるため、昇給や昇進のスピードにも期待できるでしょう。
企業にとって重宝される存在である
電気主任技術者は、資格取得の難易度が高い専門的な技術者であるため、企業から貴重な人材として重宝されます。作業現場や規模によっては、電気主任技術者の設置を義務付けられることもあり、企業にとって欠かせない存在なのです。また、電気主任技術者の需要が高まっている背景には、以下の理由もあります。
- 電気工作物の増加
- 高度経済成長期に建てられた建築物の老朽化これらの業務量に対して電気主任技術者は不足している現状なので、好待遇で受け入れてもらえる可能性があります。
業務量に対して電気主任技術者は不足している現状なので、好待遇で受け入れてもらえる可能性があります。
SDGs推進により仕事量が増加傾向にある
政府のSDGs推進によるエネルギー改革の進行に伴い、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー設備の増加や、省エネのための新たな設備の設置が進められています。
これらの状況変化により、電気主任技術者の需要は高まっています。この動きは今後も続いていくと考えられるため、電気主任技術者に関する案件はさらに増加していくでしょう。案件が増加すれば、当然企業側としても欲しい人材なので、好待遇で受け入れられる可能性が高いです。
電気主任技術者の独立が向いている人・向いていない人
電気主任技術者として独立をする前に、自分が独立向きか正社員向きかを改めて考えてみましょう。以下にそれぞれの特徴をまとめましたので、参考にしてください。
独立に向いている人 | 正社員に向いている人 |
・営業力があるコミュニケーション能力が高い ・行動力があるお金の管理ができる ・より広い分野で活躍したい ・プライベートの時間よりも仕事が好き | ・職人として現場仕事と向き合いたい ・安定した収入を得たい ・事務作業が苦手 ・プライベートと仕事をハッキリ分けたい |
自分の性格と照らし合わせて選択すれば、失敗を防げるでしょう。
正社員として活躍する選択肢も検討してみましょう
電気主任技術者は需要の高い資格ですし、今後の仕事量も増加すると予想されます。
そのため、個人事業主として独立すれば、成功する可能性は高いといえるでしょう。
しかし、独立するとなれば、現場の仕事以外に、営業やお金の管理などの業務も発生するので、場合によっては「失敗した」と後悔するかもしれません。
ですので、独立を検討する際には、「本当に自分のやりたい仕事ができるのか?」「自分の求める未来に対して独立が正しいのか?」「自分の性格に合っているのか?」などを慎重に考えてから選択してください。
正社員として活躍できる道もあるので、自分に合った後悔しない道を選ぶようにしましょう。