人手不足と言われている電気主任技術者ですが、実際のところ、いい条件での転職は可能だろうかと感じられている方も多いのではないでしょうか。今回はその疑問について、人手不足の現状から、業界の将来性、いい条件で転職できる可能性についてご紹介します。

電気主任技術者の人手不足の現状

電気主任技術者の人手不足は、2024年現在の日本の労働市場における重要な課題の一つです。厚生労働省の統計によれば、近年、電気主任技術者の数は高い需要を満たすには不足しています。さまざまな産業部門において、電気設備の運用や保守が必要とされる中、資格を持った技術者の不足は深刻化しています。

引用:全国電気管理技術者協会連合会 電気主任技術者の人材の 不足に係る業界の現状と 人材確保のための取組 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/014_03_00.pdf

電気主任技術者が不足している原因

電気主任技術者が不足している原因は以下の通りです。

 保安点検が必要な電気設備の増加

電気主任技術者の人手不足の原因を辿ってみると、保安点検が必要な電気設備が増加していることが挙げられます。老朽化したビルの建て替えなどにともない、特に高圧電力を要するビルの需要が増加しており、資格取得者数に対して仕事量が増え続けている現状があります。 また、近年の再生エネルギー発電設備の普及も、電気設備の増加に大きく影響を与えていると言えるでしょう。

資格取得の難易度が高い

電気主任技術者試験は、電気系の資格はもちろん、多くの資格のなかでも難易度の高い試験です。合格率は低く、長期間にわたる専門的な勉強が必要になります。一次試験は、理論、電力、機械、法規の4科目で、科目別合格制なので有効期限の3年間を使って勉強する方法が採れます。 二次試験は、電力・管理と機械・制御の2科目です。科目別合格制度はありませんが、一次試験合格年度に不合格でも翌年度は一次試験が免除される仕組みとなっています。1度の試験で不合格の科目があっても、翌年、翌々年に有利な状況で再チャレンジすることが可能ですが、それくらい難しいので、短期間で取得するのは難しい資格と言えるでしょう。

仕事の知名度が低い

電気主任技術者は、電気に関わる業界で働くのであれば知っている人が多い資格のうちのひとつですが、一般的に知名度はあまり高くありません。言葉だけだとどのような仕事をしているのか分かりづらいですし、身近に電気主任技術者がいない場合は、なかなか馴染みのない資格と言えるでしょう。再生エネルギー事業などが身近になるとともに電気主任技術者の知名度も少しずつ広がっていく可能性はあるかもしれません。

資格保有者の多くが大手を希望

電気主任技術者の平均年収は約645万円ですが、職種や勤務先、経験やスキルなどによって、収入が大きく変わるのが特徴で、中には1,000万円を目指せるケースもあります。

大手企業では、取引先の規模や案件も大きく、報酬も高い傾向にあり、残業代や資格手当などの待遇も良い場合が多いため、電気主任技術者の資格保有者は大手企業を希望する場合が多いようです。

資格保有者の高齢化

電気主任技術者の資格保有者は高齢化してきており、免状取得者の約6割が50歳以上、約4割が60歳以上にもなります。資格保有者における高齢者の割合が多い原因は、セカンドキャリアとして電気主任技術者を選択する方が比較的多いためと考えられます。再生エネルギーの普及加速に伴い、電気主任者の需給ギャップはさらに拡大する見込みです。

経済産業省が実施している電気主任技術者不足への対応

経済産業省の資料によると、再生可能エネルギーの導入拡大が進むなかで、今後はそれに関連する設備の増加がさらに見込まれます。もし新たな対策を講じない場合、2030年時点で第二種だけでも約1,000人の人員が不足する可能性があると言われています。

このような現状から、メディアや広報による認知向上施策や、オンライン学習制度導入の検討などを始めとする国をあげての人材の育成や確保、また保安制度の改善に向けた検討が進められています。

外部委託範囲の拡大

これまで、電気主任技術者の外部委託範囲については

○自家用電気工作物であって出力2,000kW未満までの発電所(原子力発電所除く)については、国の承認を受けて、外部(一定の要件を満たす法人又は個人)に保安管理業務を委託する場合、電気主任技術者を選任しないことができる(電気事業法施行規則第52条第2項)。

○出力を制限しているのは、選任においては日常の巡視点検などを通じて設備の状態の変化に気付きやすく速やかな対処が可能であることに対して、「外部委託制度」では、実務経験を有する電気管理技術者等が定められた頻度で設置者の事業所に出向き、点検等を行う管理形態であるため、出力が大きくリスクが大きいと考えられる発電所には適切でないと考えられるためである。

経済産業省 産業構造審議会 保安分科会 電力安全小委員会(第2回)

とされていましたが、今回の見直しにより、出力数が拡大されました。

○太陽光発電は出力5,000kW未満、風力、水力、火力(燃料電池を除く。)発電所に関わる電気主任技術者の外部委託の承認範囲を、出力2,000kW未満まで拡大することとしたい。

○但し、太陽光発電設備については、リスクに応じた点検頻度をすることが必要。

経済産業省 産業構造審議会 保安分科会 電力安全小委員会(第2回)

となりました。

電気主任技術者試験が年2回に増加

また、電気主任技術者の試験は、年2回での開催と増加されました。
詳しくは経済産業省の、電気主任技術者制度についてという資料が公開されています。

引用: https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/014_01_00.pdf

電気主任技術者のキャリアパスと将来性

電気主任技術者としてのキャリアパスは、高い可能性を秘めています。初めてのポジションから始め、経験を積んでスキルを磨きながら、さまざまなキャリアパスが開かれています。

現場での実務経験を積んだ後は、リーダーシップや管理能力を発揮するポジションへのキャリアアップが考えられます。チームを指導し、設備管理やトラブル解決のリーダーシップを担うことで、昇給も見込めることでしょう。

また、技術者としての専門性を高め、新たな技術や分野に挑戦することも可能です。将来的には技術の専門家やコンサルタントとして活躍する道も開かれます。

再エネ業界自体の需要の広がり

再生エネルギー業界は、持続可能なエネルギー源への需要が高まる中で、未来の可能性を感じさせる業界です。気候変動への対策や持続可能な開発目標の達成に向けて、再生可能エネルギーへの依存度が増しています。その結果、再エネ業界は急速に成長し、多くの新たな機会が生まれています。

例えば、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電所の建設が盛んに行われており、これに伴い設備の管理や保守がますます重要視されています。また、エネルギーのデジタル化やスマートグリッドの普及により、再エネ業界におけるデジタル技術の需要も拡大しています。さらに、エネルギー貯蔵技術やエネルギーマネジメントシステムなど、新たな技術の開発や導入にも注目が集まっています。

管理職への昇進の可能性が高まる

電気主任技術者は、管理職への昇進の可能性が高まるポジションにあります。その理由は、技術的な知識や経験だけでなく、リーダーシップや管理能力も求められるからです。

設備管理やトラブル解決においてリーダーシップを発揮する機会が多くありますし、チームを指導し、安全性や効率性を確保するためには、リーダーシップやチームマネジメントの能力が欠かせません。そのため、現場での経験を通じてリーダーシップスキルを磨くことで、管理職へのステップアップができるようになるでしょう。

また、電気主任技術者は、設備の運用や保守における重要な意思決定を行う立場にあります。設備の安全性や効率性を確保するためには、冷静な判断力や問題解決能力が求められます。組織内での信頼と尊敬を獲得することで、管理職への昇進機会が増えるでしょう。

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