電気主任技術者はすごい資格!
電気主任技術者は「電気のスペシャリスト」と言われるすごい資格です。では、一体何がどうすごいのか、具体的に見ていきましょう。
試験が難関なので資格取得のハードルが高い
国家資格である電気主任技術者試験は、かなり難易度の高い試験です。初めて目指す方の多い第三種電気主任技術者でも、目安の勉強時間は1,000時間と言われています。また、一発合格を狙うのではなく、数年かけて合格を目指す方もいるほどです。
最難関とも言われる電気主任技術者の資格は、持っているだけですごい資格とも言えるでしょう。
独占業務なので電気主任技術者がいないと成り立たない
電気設備を設けている事業主は、その工事、保守、運用などの保安監督者として、電気主任技術者を必ず選任しなければならないことが電気事業法で定められています。これを、独占業務と言います。発電所や変電所、工場やビルなど、現代においてなくてはならない電気設備。それらを支える縁の下の力持ちでもある電気主任技術者は、なくてはならない存在です。
さまざまな業界で活躍できる
電気主任技術者が活躍できる場は、工場やオフィスビル、商業施設、発電所、変電所など、さまざまあります。近年では再生可能エネルギー発電の設備が急増しているため、太陽光や風量発電の化学プラントやメガソーラーなどの需要も高まっていることから、活躍できる場がどんどん拡大していると言えるでしょう。
AIに代わられる心配がない
AIが普及すると、現在人間が行っている仕事や業務が奪われるとも言われます。それは、多くの分野でAIが人間よりも優れた処理能力を持っているからです。
ですが、電気主任技術者の業務は、AIに取って代わるような業務ではありません。電気主任技術者の業務のメインは電気設備の点検作業の他に、施設所有者や他の工事業者との折衝、メンテナンス作業のスケジュール作成がありますが、人とのコミュニケーションが必要になって来る業務はAIに代わられる可能性が少ないと考えられます。
需要が高く、将来性が抜群
経済産業省の資料「電気保安人材の持続可能な確保・活用に向けた制度のあり方について」によれば、電気主任技術者の有資格者は、2030年には約2,000人が不足するという推計結果が出ています。
今後、どの業界においても必要とされる資格である電気主任技術者。特に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電の設備は今後も増えていくことが見込まれるため、その設備に対応することのできる電気主任技術者は、将来的にも安定して需要が見込まれると言えるでしょう。
今から資格を取得し、実務経験を積むことで、安定して長く働くことが可能になります。また、その高い専門性と技術知識を活かして独立することも可能です。
キャリアアップや年収アップが期待できる
電気主任技術者の資格を取得すると、会社によっては資格手当が付与されたり、昇給・昇進したりする可能性が高まります。
また、実務経験を積んだのちに独立した場合、年収が1,000万円を超えることも可能であると言われています。
電気主任技術者の業務内容
電気主任技術者のメインの業務は、電気設備の点検作業です。具体的には、電圧や電流の計測・記録、絶縁体の抵抗の測定、非常用発電機の点検、配線のネジの確認などです。
また、ほこりなどによって電気設備が故障するのを防ぐための設備周辺の清掃作業や、電気設備の故障時や不具合、トラブルなどが発生した際の対応、施設所有者や他の工事業者との折衝、メンテナンス作業のスケジュール作成なども業務に含まれます。
電気主任技術者は3つに分類される
電気主任技術者は、取り扱うことのできる電気工作物の電圧に応じて、第一種、第二種、第三種に分かれています。
第一種 | すべての事業用電気工作物 |
第二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
第三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
電気主任技術者と電気工事士は何が違う?
電気主任技術者は電気設備の保安や監督を担うのに対し、電気工事士は電気設備の工事を担います。
電気主任技術者は、電気工事士を監督する立場にあります。
電気主任技術者はどんな人が向いている?
「電気のスペシャリスト」としてすごい資格である電気主任技術者。では、一体どんな人が向いているのか、詳しく見ていきましょう。
責任感のある人
電気主任技術者は、電気設備の安全のための重要な立場を担う人材です。日々の業務が安全に繋がり、人々の生活を守っているという責任感を持って業務に取り組むことのできる人が向いていると言えるでしょう。
コツコツ頑張ることのできる人
電気主任技術者の主な業務は、電気設備の保守・点検です。
毎日の点検作業は同じでつまらないと感じる人もいるかもしれませんが、何も異常がない状態であることは良いことです。異常がない状態が続くということは、電気主任技術者の責務が果たされているということ。縁の下の力持ちとして、毎日の同じ作業でもコツコツと取り組むことのできる人が向いていると言えるでしょう。
コミュニケーション能力のある人
電気主任技術者は監督の役割を担うため、他の関係者に注意をすることや指示を出す場面もあります。施設所有者や他の工事業者など、あらゆる関係者と意見のやり取りを図る必要があるため、コミュニケーション能力のある人が向いています。
電気主任技術者になるには?
電気主任技術者の資格の取得方法は、「国家試験に合格して資格を取得する」方法と「認定で資格を取得する」方法の2種類があります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
国家試験に合格する
まずは、国家試験である電気主任技術者試験に合格して資格を取得する方法です。受験資格は特にないため、初めて目指す方はこの方法となります。
第三種電気主任技術者
電気主任技術者の資格の中でも入門として位置づけられる第三種。
その難易度、合格率、試験概要はどのようなものか見ていきましょう。
第三種電気主任技術者試験の難易度
第三種電気主任技術者(電験三種)の合格率は、例年10%前後。他の国家資格と比較しても難易度は高めであると考えられます。
ですが、受験資格の制限がないため、異業種からチャレンジすることも可能です。
第三種電気主任技術者試験の合格率
年度 | 合格率 |
令和5年度上期 | 16.6% |
令和4年度下期 | 15.7% |
令和4年度上期 | 8.3% |
(出典:令和 5 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について)
第三種電気主任技術者試験の試験概要
第三種電気主任技術者試験には「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目があり、それぞれに合否判定が行われます。この4科目すべてに合格すれば、第三種電気主任技術者試験に合格となります。各科目の解答方式は、マークシートに記入(筆記方式)又はパソコンで解答(CBT方式)する五肢択一方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 | 90分 |
電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 | 90分 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 | 90分 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 | 65分 |
一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。
第三種電気主任技術者試験の2024年度試験スケジュール
上期 | 下期 | |
試験案内 | 5月中旬頃 | 10月下旬頃 |
受験申込受付期間 | 5月20日(月)~6月6日(木) | 11月11日(月)~11 月28 日(木) |
受験手数料 | 7,700円(インターネット申込の場合) | 7,700円(インターネット申込の場合) |
試験実施日 | CBT方式:7月4日(木)~7月28日(日)(25日間)筆記方式:8月18日(日) | CBT方式:令和7年2月6日(木)~3月2日(日)(25日間)筆記方式:令和7年3月23日(日) |
(参照:一般財団法人電気技術者試験センター令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内)
第二種電気主任技術者
第三種電気主任技術者に合格した受験者が、次に受験するのが第二種電気主任技術者。五肢択一の科目試験のみだった第三種とは違い、多肢選択方式の一次試験と、記述方式の二次試験に分かれます。
その難易度、合格率、試験概要はどのようなものか見ていきましょう。
第二種電気主任技術者試験の難易度
第二種電気主任技術者の合格率は例年20%前後。決して高くはない合格率なので、比較的難しいとも言えるでしょう。
ですが、一次試験の内容は科目によっては、第三種電気主任技術者の範囲でカバーできるところもあるため、既に第三種電気主任技術者程度の知識があれば、合格の可能性は高まります。
第二種電気主任技術者試験の合格率
年度 | 合格率 |
令和5年度 | 17.7% |
令和4年度 | 24.0% |
令和3年度 | 17.2% |
(出典:令和5年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について)
第二種電気主任技術者試験の試験概要
第二種電気主任技術者試験は、一次試験と二次試験に分かれます。一次試験に合格しなければ、二次試験を受けることは出来ません。
一次試験
一次試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目。各科目の解答方式は、マークシートに記入する多肢選択方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 | 90分 |
電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 | 90分 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 | 90分 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 | 65分 |
一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、翌年と翌々年の試験では申請によりその科目は免除されます。3年のうちにすべての科目に合格すれば一次試験合格となり、二次試験の受験資格を得ることができます。
二次試験
二次試験は「電力・管理」「機械・制御」の2科目。各科目の解答方式は、記述方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 |
電力・管理 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 | 120分 |
機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス | 60分 |
なお、二次試験には科目別合格の制度はありませんが、一次試験に合格した年度の二次試験に不合格となった場合は、翌年度の一次試験が免除されます。
第二種電気主任技術者試験の2024年度試験スケジュール
試験案内 | 5月中旬頃 |
受験申込受付期間 | 5月20日(月)~6月6日(木) |
受験手数料 | 13,800円(インターネット申込の場合) |
試験実施日 | 1次試験:8月18日(日)2次試験:11月10日(日) |
(参照:一般財団法人電気技術者試験センター令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内)
第一種電気主任技術者
電気主任技術者の資格の中で最も難しいとされる第一種。第二種電気主任技術者と同様に、多肢選択方式の一次試験と、記述方式の二次試験に分かれます。
その難易度、合格率、試験概要はどのようなものか見ていきましょう。
第一種電気主任技術者試験の難易度
第一種電気主任技術者の合格率は、10%以下の年度もあれば、20%を超えることもあります。年度によって難易度に差はあるものの、高度な知識や技術を身に着けることが必要不可欠のため、難易度は非常に高いです。電力関連の資格の中では最難関であると考えられます。
第一種電気主任技術者試験の合格率
年度 | 合格率 |
令和5年度 | 17.9% |
令和4年度 | 20.9% |
令和3年度 | 8.0% |
(出典:令和5年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について)
第一種電気主任技術者試験の試験概要
第一種電気主任技術者試験も、第二種電気主任技術者試験と同様に、一次試験と二次試験に分かれます。一次試験に合格しなければ、二次試験を受けることは出来ません。
一次試験
一次試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目。各科目の解答方式は、マークシートに記入する多肢選択方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 | 90分 |
電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 | 90分 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 | 90分 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 | 65分 |
一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、翌年と翌々年の試験では申請によりその科目は免除されます。3年のうちにすべての科目に合格すれば一次試験合格となり、二次試験の受験資格を得ることができます。
二次試験
二次試験は「電力・管理」「機械・制御」の2科目。各科目の解答方式は、記述方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 |
電力・管理 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 | 120分 |
機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス | 60分 |
なお、二次試験には科目別合格の制度はありませんが、一次試験に合格した年度の二次試験に不合格となった場合は、翌年度の一次試験が免除されます。
第二種電気主任技術者試験の2024年度試験スケジュール
試験案内 | 5月中旬頃 |
受験申込受付期間 | 5月20日(月)~6月6日(木) |
受験手数料 | 13,800円(インターネット申込の場合) |
試験実施日 | 1次試験:8月18日(日)2次試験:11月10日(日) |
(参照:一般財団法人電気技術者試験センター令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内)
実務経験を積んで認定で資格を取得する
電気主任技術者のもうひとつの資格取得方法が、認定によって資格を得る方法です。
認定取得には、2つの条件を満たしていることが必要です。
- 定められた学歴を満たしている
- 定められた実務経験を満たしている
認定で電気主任技術者を取得する際に必要な学歴に関する条件は?
認定で電気主任技術者を取得するためには、経済産業省により指定された認定校(電気主任技術者認定校)において、必要な科目の単位数を取得し、卒業していることが条件となります。
認定で電気主任技術者を取得する際に必要な実務経験は?
実務経験として認められる職場・業務は、種別ごとに以下のように定められています。
- 第三種:電圧500ボルト以上の電気工作物の工事・維持・運用
- 第二種:電圧1万ボルト以上の電気工作物の工事・維持・運用
- 第一種:電圧5万ボルト以上の電気工作物の工事・維持・運用を5年以上
認定で電気主任技術者を取得する流れ
上記の条件を満たした上で、必要書類を提出し、各地にある電力保安課の担当官と面接し、審査に通過して初めて認定取得が認められます。面接ではきちんと業務に従事していないと分からないような質問もあるため、しっかり対策をしておく必要があります。
電気主任技術者の資格を活かせる求人を見てみよう!
リニューアブル・ジャパンは、全国各地で電気主任技術者を募集しています。第一種から第三種まで様々な求人がありますが、今は資格を持っていなくても、今後資格取得予定で応募可能な求人もあります。
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