電気主任技術者は、電気設備の保守や監督を行う重要な役職です。
資格を取得するためには電気主任技術者3種、2種、1種のいずれかを取得しなくてはいけませんが、この国家試験は合格率が低いことでも知られています。

少しでも試験の合格率を上げたいと考えている方には、免除制度の活用がおすすめです。
この記事では、電気主任技術者の免除制度の条件やメリット、申請に必要な書類を解説します。

電気主任技術者試験の免除制度とは

電気主任技術者試験の資格取得には、免除制度があります。
学歴や実務経験によって免除制度の条件は異なるので、免除制度について解説していきます。

電気主任技術者試験についての基本概要

電気主任技術者試験は、一定規模以上の電気工作物の工事や維持、運用に関する保安の監督をする者のことです。

この国家試験に合格することで電気主任技術者として名乗れますが、一定の条件を満たせば、試験が免除される制度も設けられています。

電気主任技術者は、電気事業の安全を確保するために欠かせない存在です。
そのため、電気主任技術者試験は電気工学に関する高度な知識と技術を問う内容となっており、3種、2種、1種の3つのレベルに分かれています。

試験免除制度の条件

電気主任技術者試験の免除制度は、一定の学歴や実務経験を有する者に対して、試験の一部を免除するものです。学歴と実務経験による免除条件は、以下のとおりです。

大学卒業者短大または高等専門学校卒業者高等学校卒業者
第3種電気主任技術者試験実務経験:1年以上実務経験:2年以上実務経験:3年以上
第2種電気主任技術者試験実務経験:3年以上実務経験:5年以上免除なし
第1種電気主任技術者試験実務経験:5年以上実務経験:5年以上実務経験:5年以上

引用:一般財団法人電気技術者試験センター

上記の免除条件を満たすためには、学歴に応じて計画的に実務経験を積む必要があります。

また、第2種電気主任技術者試験と第1種電気主任技術者試験に限っては、前年度の1次試験の合格者は翌年の1次試験の免除対象者となります。

科目別免除制度の条件

第3種電気主任技術者試験と第2種電気主任技術者試験、第1種電気主任技術者試験の1次試験は、4科目すべてに合格しなくてはいけません。一部の科目だけ合格した場合は、科目合格となり、次回以降その科目の試験は免除されます。

第3種電気主任技術者試験の場合は、連続して5回まで当該科目の試験が免除される仕組みです。

第2種電気主任技術者試験と第1種電気主任技術者試験の場合、3年間で4科目の試験に合格すると二次試験の受験資格が得られます。一度に全ての科目に合格するのは至難のため、上記のような措置が講じられました。

電気主任技術者の免除申請に必要な書類

試験免除に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 主任技術者免状交付申請書:すべての申請者
  • 卒業証明書:1、又は2に該当する者
  • 単位取得証明書又はこれに代わるもの:1に該当する者
  • 電気主任技術者免状又は合格書の写し:3に該当する者
  • 実務経歴証明書:すべての申請者
  • 戸籍抄本又は住民票:すべての申請者
  • 免状送付用宛先用氏:すべての申請者

※1:経済産業大臣が認定した教育施設で所定の科目を修めて卒業した者
※2:旧電気事業主任技術者資格検定規則による認定学校卒業者
※3:現に免状を交付されている者

引用:公益社団法人日本電気技術者協会

電気主任技術者の試験免除を利用するメリット

電気主任技術者の試験免除を利用すると、以下のようなメリットを得られます。

  • 時間とコストの節約
  • 不合格リスクの回避
  • 実務経験の活用

特に電気主任技術者試験は難易度が高いので、試験の免除制度を利用すると合格率が向上します。
少しでも合格率を上げたいと考えている方は、試験免除を活用してみましょう。

時間とコストの節約

電気主任技術者試験の受験準備には、多くの時間と労力が必要とされます。
また、受験料や受験のための交通費・宿泊費など、経済的なコストも少なくありません。
試験免除を利用することで、上記の時間とコストを大幅に節約できます。

免除申請の準備にも一定の手間はかかりますが、試験勉強に比べれば、はるかに短い時間で済みます。
また、免除申請に必要な書類の発行手数料などのコストは、受験料や交通費と比較すると小額です。

不合格リスクの回避

電気主任技術者試験は合格率が低く、多くの受験者にとってハードルの高い国家試験です。
何度受験しても合格できないケースも少なくありません。
試験免除制度を利用することで、このような不合格リスクを回避できます。

免除条件を満たしていれば試験に合格する必要がないので、確実に電気主任技術者の資格を取得可能です。資格取得の確実性が高まることで、今後のキャリアプランを立てやすくなるというメリットもあります。

実務経験の活用

試験免除制度の多くは、実務経験を免除条件の一つとしています。つまり、電気工学分野で一定の実務経験を積んでいる人ほど、試験免除制度を利用しやすいということです。

実務経験による試験免除制度は、電気工学分野で働く人にとって大きなメリットとなります。日頃の仕事の中で培ったスキルと知識を活かし、電気主任技術者という国家資格を取得しましょう。

科目免除申請後の試験対策

科目免除の申請が認められた後は、残りの科目の学科試験対策が重要となります。
学科試験対策ではまず出題範囲を確認し、教科書や参考書で基礎知識を身につけることから始めます。

次に、過去問題を解いて出題傾向を把握し、模擬試験を受験して現在の実力を確認します。
苦手分野を重点的に学習し、時間配分を意識して問題を解く練習を行うことも大切です。

電気主任技術者試験の免除制度を活用することで、試験勉強の負担を軽減できます。参考書や教育講座、インターネットの情報を有効に活用し、まだ合格していない科目の学科試験対策に力を入れていくと、合格への道が開けるでしょう。

電気主任技術者資格を取得すると免除対象になる資格

電気主任技術者資格を取得すると、以下の資格取得時に試験の一部が免除になります。

  • 電気工事士
  • 電気工事施工管理技士
  • 消防設備士

電気工事士の筆記試験が免除

第3種電気主任技術者以上の資格を取得していれば、第2種電気工事士および第1種電気工事士の筆記試験が免除されます。

電気主任技術者資格を有していると、実技試験のみで資格を取得できます。

電気主任技術者と電気工事士の資格を両方取得したいと考えている方は、先に電気主任技術者資格を取得してから電気工事士を受験することで勉強時間を短縮可能です。

消防設備士(電気系)の第4類、第5類の学科試験が免除

第3種電気主任技術者以上の資格があれば、「基礎的知識」及び「構造・機能及び工事・整備」のそれぞれの科目中における「電気に関する部分」が免除になります。

職業訓練指導員の学科試験が一部免除

第3種電気主任技術者以上の資格を取得していれば、職業訓練指導員の学科試験の一部が免除されます。

電気主任技術者と職業訓練指導者には関連がないと考えている方もいるかもしれませんが、公共職業能力訓練開発施設や認定職業訓練施設などで電気工事に関する訓練指導を行う際に必要になります。

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