電験2種とはどのような資格なのか。電験2種(第二種電気主任技術者)の業務内容や概要、国家試験受験と認定の2つの資格取得方法、資格を取得するメリットについて、徹底解説します。
電験2種(第二種電気主任技術者)とはどんな資格?
電験2種(第二種電気主任技術者)とは、電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物の保守・監督ができる資格です。
第一種 | すべての事業用電気工作物 |
第二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
第三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
電験2種(第二種電気主任技術者)の資格があると、電圧5万ボルト以上のビルや工場、化学プラント、メガソーラー、データセンター、大型商業施設などの大規模施設の受電設備を扱うことができるようになります。
電気主任技術者の業務内容
電気主任技術者のメインの業務は、電気設備の点検作業です。具体的には、電圧や電流の計測・記録、絶縁体の抵抗の測定、非常用発電機の点検、配線のネジの確認などです。また、ほこりなどによって電気設備が故障するのを防ぐための設備周辺の清掃作業や、電気設備の故障時や不具合、トラブルなどが発生した際の対応も業務に含まれます。
電験2種(第二種電気主任技術者)の取得方法は2種類
電験2種(第二種電気主任技術者)の資格の取得方法は、「第二種電気主任技術者試験に合格して資格を取得する」方法と、「認定で資格を取得する」方法の2種類があります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
第二種電気主任技術者試験に合格して資格を取得する
まずは、国家試験である第二種電気主任技術者試験に合格して資格を取得する方法です。受験資格は特にないため、初めて目指す方はこの方法となります。
電験2種(第二種電気主任技術者)の難易度
電験2種(第二種電気主任技術者)の合格率は例年20%前後。かなり難易度の高い試験と言えるでしょう。後述する科目合格制度を利用して、数年かけて合格を目指す受験生も少なくありません。
電験2種(第二種電気主任技術者)の合格率
年度 | 1次試験 | 2次試験 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
令和5年度 | 6,318人 | 1,545人 | 24.4% | 2,682人 | 474人 | 17.7% |
令和4年度 | 6,189人 | 2,178人 | 35.2% | 2,904人 | 698人 | 24.0% |
令和3年度 | 5,979人 | 1,539人 | 25.7% | 2,407人 | 413人 | 17.2% |
令和2年度 | 6,235人 | 1,695人 | 27.2% | 2,512人 | 701人 | 27.9% |
令和元年度 | 6,915人 | 1,633人 | 23.6% | 2,513人 | 574人 | 22.8% |
(参照:一般財団法人電気技術者試験センター第二種電気主任技術者試験試験実施状況の推移)
電験2種(第二種電気主任技術者)の試験概要
第二種電気主任技術者試験は、一次試験と二次試験に分かれます。一次試験に合格しなければ、二次試験を受けることは出来ません。
1次試験の受験科目と問題形式
電験2種の1次試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目。各科目の解答方式は、マークシートに記入する多肢選択方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 | 問題数と配点 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 | 90分 | A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点B問題3問(選択問題含む)×1問題あたり小問各2点,計10点 |
電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 | 90分 | A問題4問×各3点B問題3問×1問題あたり小問各2点,計10点 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 | 90分 | A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点B問題3問(選択問題含む)×1問題あたり計10点 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 | 65分 | A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点B問題3問×1問題あたり計10点 |
科目合格制度
1次試験の結果は科目別に合否が決まります。4科目全てに合格すれば、1次試験合格となります。なお、一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、翌年度と翌々年度の試験では申請によりその科目は免除されます。つまり、3年のうちにすべての科目に合格すれば1次試験合格となり、2次試験の受験資格を得ることができます。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 結果 | |
理論 | 合格 | 免除 | 免除 | 合格 |
機械 | 不合格 | 合格 | 免除 | |
電力 | 不合格 | 合格 | 免除 | |
法規 | 不合格 | 不合格 | 合格 |
2次試験の受験科目と問題形式
電験2種の2次試験は「電力・管理」「機械・制御」の2科目。各科目の解答方式は、記述方式です。
科目 | 出題範囲 | 試験時間 | 問題数と配点 |
電力・管理 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 | 120分 | 6題中4題を選択×1問題あたり各30点 |
機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス | 60分 | 4題中2題を選択×1問題あたり各30点 |
1次試験免除制度
2次試験には科目別合格の制度はありませんが、1次試験に合格した年度の2次試験に不合格となった場合は、翌年度の1次試験が免除されます。ただし、翌年度の2次試験に不合格となった場合は、翌々年度からは新たに1次試験から受験することが必要です。
2024年度試験スケジュール
試験案内 | 5月中旬頃 |
受験申込受付期間 | 5月20日(月)~6月6日(木) |
受験手数料 | 13,800円(インターネット申込の場合) |
試験実施日 | 1次試験:8月18日(日)2次試験:11月10日(日) |
(参照:一般財団法人電気技術者試験センター令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内)
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得する
電験2種(第二種電気主任技術者)のもうひとつの資格取得方法が、認定によって資格を得る方法です。
認定取得には、2つの条件を満たしていることが必要です。
- 定められた学歴、または電験3種(第三種電気主任技術者)の免許を取得している
- 定められた実務経験を満たしている
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得する際に必要な学歴に関する条件は?
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得するためには、経済産業省により指定された認定校(電気主任技術者認定校)において、必要な科目の単位数を取得し、卒業していることが条件となります。
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得する際に必要な実務経験は?
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得するために必要な実務経験の年数は、条件によって異なります。
電験3種(第三種電気主任技術者)の資格保持者は5年以上、認定校のうち、大学等を卒業した人は3年以上、短大・専門学校等を卒業した人は5年以上の実務経験が必要です。
電験3種(第三種電気主任技術者)の資格保有者 | 実務経験5年以上 |
認定校の大学等卒業者 | 実務経験3年以上 |
認定校の短大・専門学校等卒業者 | 実務経験5年以上 |
ちなみに、ここで言う実務経験とは、電圧1万V以上の事業場での経験に限られます。
認定で電験2種(第二種電気主任技術者)を取得する流れ
上記の条件を満たした上で、必要書類を提出し、各地にある電力保安課の担当官と面接し、審査に通過して初めて認定取得が認められます。面接では実務経験に関することのみでなく、試験で問われるような知識を兼ね備えておく必要があるため、かなり難易度が高いと考えられます。
電験2種(第二種電気主任技術者)を取得するメリット
かなり難易度の高い資格である電験2種(第二種電気主任技術者)。取得するとどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
メリット①活躍できる幅が増える
電験2種(第二種電気主任技術者)の資格を有していると、電圧5万ボルト以上のビルや工場、化学プラント、メガソーラー、データセンター、大型商業施設などの大規模施設の受電設備を扱うことができるようになります。取り扱うことのできる設備の幅が広がると、活躍できる場所が増え、その分応募できる求人の数も増えます。
メリット②需要が高い
経済産業省の資料「電気主任技術者制度について」によれば、2030年の時点で第二種電気主任技術者は約1,000人が不足すると言われています。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電の設備は今後も増えていくことが見込まれるため、その設備に対応することのできる電験2種(第二種電気主任技術者)の有資格者は、将来的にも安定して需要が見込まれるといえるでしょう。
メリット③転職に有利
電験2種(第二種電気主任技術者)は、難易度の高く取得の難しい資格のため、企業のニーズに比べ、有資格者が圧倒的に不足しています。さらに、有資格者の高齢化に伴う退職などの影響から、各企業は有資格者の人材確保にかなり力を入れています。
電験2種(第二種電気主任技術者)を持っている人材は転職市場においての価値がかなり高いため、転職に有利であると考えられます。
メリット④資格手当などで年収アップが見込める
電験2種(第二種電気主任技術者)を取得すると、会社によっては資格手当が付与されたり、昇給・昇進したりする可能性が高まります。また、実務経験を積んだのちに独立した場合、年収が1000万円を超えることも可能であると言われています。
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