「電験3種は役に立たない」は間違っている
インターネット上で「電験3種は役に立たない」と言われるケースもありますが、これは正しくありません。なぜなら、電験3種は電気関連の仕事において有利な資格だからです。
とくに電気工作物の保安業務については、電験3種の資格保有者の独占業務となるので、仕事がなくなることがありません。今後、長く仕事をしていくうえでも、有利な資格といえます。
電験3種は幅広い業界で働ける
電験3種が役に立つ理由として「幅広い業界で求められる」という点があります。
たとえば、以下の業界です。
- 電気業界
- 建設業界
- ビル管理業界
- 鉄道業界
- プラント業界
いずれも電験3種の資格保有者を求めている傾向があります。
そのため、電験3種の資格を取得しておけば、基本的に職に困ることはありません。
電験3種が「役に立たない」と言われる4つの理由
上記で解説したように、電験3種は役に立つ仕事です。
しかし、一方で「役に立たない」という意見も散見されます。
なぜ「役に立たない」といわれてしまうのか、その理由について解説します。
資格取得が難しいにも関わらず収入が低い
電験3種は、目安勉強時間は約1,000時間、合格率は約10%と、難易度の高い資格です。
約1年勉強しても不合格になる可能性が高いので、人によっては合格するまでに3年〜5年ほどかかってしまう場合もあるでしょう。
電験3種はこれだけ難易度の高い資格でありながらも、年収の相場は400万〜500万円です。
日本の平均年収よりやや上程度の年収なので、「努力の割に見合わない」と思う方がいるのかもしれません。
責任が重いにも関わらず収入が低い
電験3種が対応できる「電気工作物」の仕事は、責任重大な仕事です。
もし工場が止まってしまうような事故があれば、大損害になります。
これだけの責任の重さがあるにも関わらず、収入が物凄く高いわけではありません。
この責任の重大さと収入のギャップによって「役に立たない」と思う方がいるのでしょう。
資格を活かすのに実務経験が必要になる
「電験3種が役に立たない」のではなく、「電験3種の資格だけをとっても役に立たない」という意味で言っているケースもあります。
実際に、活躍できる方のほとんどは実務経験があるので、「電験3種の資格だけ」を取得しても意味がないというのは、一理あるかもしれません。
電験3種は役に立つ!取得のメリット
電験3種に対してさまざまな意見が見られますが、基本的には役に立つ資格だと考えてください。
電験3種を取得すれば仕事の範囲も広がり、職にも困りません。
以下では、さらに具体的なメリットについて解説していきます。
仕事の業務範囲が広がる
電験3種と電気工事士の資格を併せて取得すれば、仕事の業務範囲が大幅に広がり、より重要な役割を担えるようになります。
なぜなら、両方の資格を持つことで、電気設備の保安管理から点検、修理、工事、現場の監督まで、幅広い業務を一人で行えるようになるためです。
現場の保安監督として活躍することもできるでしょう。
重要な役割を任されるチャンスが広がるので、給与アップにも期待できます。
就職や転職で有利になる
将来的な転職を視野に入れている方にとって、電験3種の取得は付加価値を高める大きなメリットがあります。
企業は、採用後すぐに現場で活躍できる電験3種の合格者や、合格できる実力のある人材を求めています。
実際の求人でも「電験3種の合格者又は合格できる実力のある者」と記載されているケースが多いです。
そのため、将来的な転職を見据えている場合の、付加価値を高めるための一つとして、役に立つ資格といえます。
職に困ることがほとんどない
電験3種の資格があれば、長期的に見て職に困ることはほとんどありません。
なぜなら、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安には、電気主任技術者を選任することが義務づけられているためです。
そのため、電験3種の資格を持っていれば、さまざまな企業から求められる人材となります。
ただし、経験も重視される業界なので、現場経験の積み重ねも大事です。
全国どこでも仕事がある
電験3種は、電気設備の保安・監督という独占業務を持っているため、電気設備が設置されている場所であれば、全国どこでも働けます。
たとえば、電気設備が必要となるオフィスビル、大規模商業施設、ホテル、マンションなど、どのような場所でも仕事ができます。
実際に、平成30年に経済産業省がまとめた『電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について』の資料をもとに、就業状況を見てみましょう。
業種・職種 | 割合 |
電気保安 | 2% |
ビルメンテナンス | 14% |
電力 | 10% |
電力工事 | 6% |
建設(電工以外) | 3% |
製造 | 26% |
公務員 | 13% |
その他 | 26% |
(出展:経済産業省 「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」)
上記のように電験3種資格保持者は、幅広い業種で仕事ができます。
一つの資格でこれだけ多くの業種を選択できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
資格手当で給与アップに期待できる
電験3種の資格は需要が高く、資格手当がもらえるケースが多いです。
さらに、実務経験を重ねるほど、収入アップが見込めます。
とくにビルメンテナンス業界などでは、電験3種の資格があると高く評価されます。
一般的には、資格を持つと月々1万円程度の手当がもらえます。
電気工事士の資格のみの場合は、第一種を取得しても月5,000円程度しかもらえないと言われているので、高額な手当は電験3種だからこそのメリットといえるでしょう。
AIによる影響が小さい
電気主任技術者の仕事は、AIによる影響が小さいと言えるでしょう。
なぜなら、電気主任技術者の業務は、高度な専門性と人間的なスキルが必要とされるためです。
電験3種を含む電気主任技術者の主な仕事は、電気設備の保安監督です。
もし設備不良が発見された場合には、電気主任技術者の依頼や指示に沿って、電気工事士が工事を行います。
このような監督業務には関係者との綿密なコミュニケーションと臨機応変な対応が求められるので、AIに仕事を奪われるリスクは低く、むしろ需要が継続すると期待できます。
電験3種の需要は今後も高まる
電験3種の資格を取得すれば、今後20〜30年は仕事に困ることはなく、むしろ人材不足が深刻化する中で活躍の場が広がります。
経済産業省の「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」資料によると、2045年頃には電気保安業界で電験3種の人材が4,000人程度不足すると推計されています。
有資格者が減少する一方で業務ビルが増加し続けるためです。
このように、電験3種の需要は中長期的に見て高まる一方です。
早期に資格を取得しておけば、将来の就業が有利になります。
電験3種を活かして活躍の場を広げましょう
電験3種は、役に立つ資格であり、多くのメリットがあります。
とくに、今後電気業界で働きたい方や、長期的に安定した働きたい方にとっては、有利な資格といえるでしょう。
ただし、電験3種の資格を活かすならば、職場選びも重要です。
自身にとって沢山のメリットを享受できるように、好待遇の職場を見つけてください。