電気主任技術者の外部委託承認制度は、企業が外部の専門家に電気設備の管理を委託する制度です。この記事では、メリットや仕組み、注意点について解説します。
電気主任技術者の外部委託承認制度とは?
電気主任技術者の外部委託承認制度は、企業が電気設備の管理や監督を外部の電気主任技術者に委託する制度です。これによって企業は、専門家の知識や経験を活用し、設備の安全性や適正な運用を確保できます。外部委託により、企業は人件費や設備管理の負担を軽減し、業務の効率化を図ることができます。しかし、適切な委託先の選定や契約内容の明確化など、注意しなければならないこともあります。信頼性の高い専門家とのパートナーシップ構築のために必要な知識を、読み進めて行きましょう。
制度の概要
公益社団法人 日本電気技術者協会によると、保安管理業務外部委託承認制度の概要は次のとおりとされています。
電気事業法第43条第1項の規定により、事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため主任技術者を選任しなければならないとされています。しかし、電気事業法施行規則(以下、「規則」という。)第52条第2項の規定により、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下、「保安管理業務」という。)の委託契約を、一定の要件に該当する者と締結しているものであって、保安上支障がないものとして所轄産業保安監督部長の承認を受けた場合には、主任技術者を選任しないことができるとされています。
公益社団法人 日本電気技術者協会
制度のメリット
保安管理業務外部委託承認制度のメリットは、適格な外部専門家に業務を委託することで企業の負担を軽減し、効率的な運用が可能になることです。適切な承認を得れば、専門家の知識と経験を利用しつつ、自社で電気主任技術者を選任せずに業務を遂行できます。
制度の仕組み
一定の要件を満たした委託契約が所轄産業保安監督部長の承認を受けることで、電気主任技術者を選任せずに業務を行うことができます。電気主任技術者の選任が不要となる代わりに、委託契約の内容や専門家の資格に関する厳格な条件が定められています。
保安管理業務外部委託承認制度の対象となる事業場は、概略次のとおりです。
(1)電圧7,000V以下で連系等をする、出力5,000kW未満の太陽電池発電所
(2)電圧7,000V以下で連系等をする、出力2,000kW未満の発電所(水力発電所、火力発電所、風力発電所に限る。)を管理する事業場
(3)電圧7,000V以下で連系等をする、出力1,000kW未満の発電所(前号(2)に掲げるものを除く。)を管理する事業場
(4)電圧7,000V以下で受電する需要設備
保安管理業務の委託先要件は以下の通りと定められています。
保安管理業務の委託契約先(個人事業者(電気管理技術者)又は法人(電気保安法人))の要件は規則第52条の2に規定され、具体的な要件としては平成15年経済産業省告示第249号(平成28年3月22日)に概ね次のようなことが定められています。
(1)委託契約先の個人又は保安管理業務に従事する者(以下、「保安業務従事者」という。)は、所定の実務経験の有する有資格者であること。
- 第一種電気主任技術者免状の交付を受けている者 3年又は2年※1
- 第二種電気主任技術者免状の交付を受けている者 4年又は3年※1
- 第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者 5年又は4年※1
(ただし、交付を受けた以前の期間は上記の1/2に相当する期間)
※1設備容量が300kVA以下のPF・S型のキュービクル式受電設備のみを受託する場合、実務に従事した期間を1年減ずる事ができる。(経済産業省告示)
など
(2)委託契約先の事業者は、点検に必要な機械器具を有すること。
(機械器具の例)
- 絶縁抵抗計
- 電流計
- 電圧計
- 低圧検電器
- 高圧検電器
- 接地抵抗計
- 騒音計
- 振動計
- 回転計
- 継電器試験装置
- 絶縁耐力試験装置
など
(3)委託先契約の電気管理技術者又は電気保安法人の保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(以下「保安業務担当者」という。)が担当する事業場数は、第1表に掲げる換算係数の合計が33未満であること。
事業場 | 換算係数 | ||
需要設備 | 低圧 | 0.3 | |
高圧 | 設備容量が64kVA未満 | 0.4(小規模需要設備0.2) | |
設備容量が64kVA以上 150kVA未満 | 0.6 | ||
設備容量が150kVA以上 350kVA未満 | 0.8 | ||
設備容量が350kVA以上 550kVA未満 | 1.0 | ||
設備容量が550kVA以上 750kVA未満 | 1.2 | ||
設備容量が750kVA以上 1,000kVA未満 | 1.4 | ||
設備容量が1,000kVA以上1,300kVA未満 | 1.6 | ||
以下省略 | 以下省略 |
(4)委託先契約の電気管理技術者又は保安業務担当者(以下、「電気管理技術者等」という。)は、自家用設備に応じた頻度で点検を行うこと。
(例)
- 需要設備にあっては毎月1回以上
- 燃料電池発電所にあっては毎月1回以上
- 太陽電池発電所にあっては6ヶ月に1回以上
保安管理業務外部委託承認制度を活用した電気主任技術者のアウトソーシング方法
保安管理業務外部委託承認制度を活用した電気主任技術者のアウトソーシング方法について見ていきましょう。
外部委託業者の選び方
外部委託業者の選び方については、経済産業省が詳細な回答を出していますので、こちらをご確認ください。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/syuningijutsusya_qa.pdf
電気主任技術者の外部委託制度の申請手続きと条件
外部委託承認申請等の手続きについては、経済産業省の「保安ネット」を利用した電子申請による手続きが標準的な申請方法です。 保安ネットの使用には、「GビスIDのアカウント」が必要となります。
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