インフラエンジニアを目指して転職活動をする際、多くの企業の選考の一環として行われるのが適性検査です。採用面接はうまくいったと思っていても、適性検査で落とされることもしばしばあります。選考としての適性検査とは、一体どういうものなのか。インフラエンジニアに適性のある人はどんな人なのか、解説していきます。
適性検査はなぜ実施されるのか?
選考の一環として実施されることの多い適性検査。これは、応募者の能力や人柄、性格などから、どんな仕事に向いているのかをを知るために実施するものです。応募者の能力や性格などを客観的かつ定量的に評価することで、企業とのミスマッチを防ぐ目的があります。
適性検査は、種類にもよりますが、パーソナリティや行動特性を測る「性格検査」と知的能力を測る「能力検査」があります。
適性検査の結果は、選考の合否に関わるだけでなく、採用後の人員配置の参考にもなります。応募者の適性がどのようなところにあるのか。インフラエンジニアの中でも、特にどのような分野に向いているのか、どのような業務が向いているのかを判断する材料にもなります。
エンジニア向けの適性検査の主な種類
適性検査には、様々な種類があります。ここでは、エンジニアの一般的な適性検査を紹介します。
CAB
IT業界やIT系の職種で実施されることの多い適性検査が「CAB」です。「CAB」は「Computer Aptitude Battery」の略称で、日本エス・エイチ・エル社が提供する適性検査です。バイタリティやストレス耐性、論理的思考力を測る問題が出題され、IT系の職種への適性が評価されます。
試験会場で受験する筆記型と、パソコン上で受験するWeb型の2種類の受験方式があります。筆記型もWeb型も出題される分野に大きな違いはありませんが、制限時間と問題数が異なります。どちらの型も問題数が多いので、スピード感を持って解答することが必要です。
GAB
「CAB」は、「Graduate Aptitude Battery」の略称で、こちらも「CAB」と同じく日本エス・エイチ・エル社が提供する適性検査です。「CAB」がコンピュータを使った職種の適性を測るものだったのに対し、「GAB」は一般的な知力などを幅広く診断するものです。制限時間が短く設定されているため、スピード感を持って解答することが必要です。
ATPP
「ATPP」は、数学や算数の問題が出題され、エンジニアやプログラマーの適性を測る適性検査です。IBM社が開発したもので、こちらも多くのIT系企業で実施されています。
ATPPの試験科目は「数列」「算数」「様々な文字を含んだ5×5のマトリクス」の3科目。どの科目も制限時間が短いため、スピード感を持って解答することが必要です。
インフラエンジニアに適性があるのはどんな人?
適性検査で向き不向きが判断できることは分かりましたが、そもそもインフラエンジニアはどのような人に適性があるのでしょうか。5つのポイントを解説します。
責任感のある人
インフラエンジニアの仕事は、クライアントの要望に基づいて設計〜運用を行うことがメインです。納期が定められているもののため、自身の担当する業務をしっかりと納期内に責任を持ってやり遂げる必要があります。
最後までやり通せる根気強さのある人
インフラエンジニアの業務は、地道で細かいものが多いです。ひとつひとつの作業を積み重ねていく必要があるため、途中で投げ出すことなく、根気強く最後までやり遂げることのできる力のある人に向いています。
冷静に物事を考えられる人
突然のシステム障害などのトラブルが発生した際、どんな状況でも冷静に対応することが求められます。インフラエンジニアが扱うのは多くの基盤となるもの。基盤にトラブルが生じれば、他の部分に対する影響が大きいため、トラブルが発生した場合は迅速に対処する必要があります。そのため、物事を冷静に考え、行動することの出来る人には向いています。
縁の下の力持ちポジションにやりがいを感じる人
インフラエンジニアは、さまざまなITシステムの安定稼働を支える縁の下の力持ちの立ち位置です。自らの仕事が、根本的な部分で社会の役に立っていると感じることにやりがいを感じる人にとって、とても向いている職業と言えるでしょう。
コミュニケーション能力のある人
システム開発のプロジェクトはチームで行うため、他のエンジニアと密にコミュニケーションを取る必要があります。エンジニアというと1人で黙々と仕事をするというイメージを持つ人もいますが、実は人と話すことは避けて通ることができません。よって、円滑なコミュニケーションを取ることの出来る人には向いていると言えるでしょう。
そもそもインフラエンジニアとは?
インフラエンジニアとは、ITの分野においてネットワークやサーバーなどの開発や運用を行うエンジニアの総称です。そもそもインフラとは、国民の生活を支える基盤のこと。電気、ガス、水道、道路、公共交通機関など、生活をするために無くてはならないもののことを指します。
ITにおいてのインフラとは、ネットワークやサーバー、データベース、セキュリティなど、インターネットを利用するにおいて、欠かせないもののことを言います。
インフラエンジニアは担当領域によって下記のように分類されます。
ネットワークエンジニア | ITシステムの土台となるインターネット通信の設計、構築、運用、保守などを行うエンジニア |
サーバーエンジニア | コンピューターシステムを運用するためのサーバーの設計、構築、運用、保守などを行うエンジニア |
クラウドエンジニア | ネット上のクラウドサービスを活用したシステム設計、構築、運用などを行うエンジニア |
データベースエンジニア | あらゆるデータを管理・保管するためのデータベースの設計、開発、運用などを行うエンジニア |
セキュリティエンジニア | 情報セキュリティに配慮したシステムを構築、運用することで、サイバー攻撃への対策をするエンジニア |
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアは、担当する領域によって様々な仕事内容がありますが、共通する大枠の流れは上流工程の「要件定義」「設計」「構築」、下流工程の「保守・運用」の大きく4つに分けられます。ひとつひとつ見ていきましょう。
要件定義
要件定義では、クライアントのニーズをヒアリング・整理して要件定義書を策定します。必要な機能や仕様、費用や人数などをまとめます。
クライアントが想定しているイメージやニーズにそぐわないものが納品されることを防ぐために、要件定義の時点でしっかりとすり合わせておくことが必要です。
設計
要件定義書を元に、ネットワークシステムを企画します。後の工程で漏れなく作業ができるように、より詳しい設計内容を盛り込みます。顧客のニーズに合わせて、ITインフラの性能、コスト、期間などを踏まえた上で設計書を作ります。
構築
設計書の内容を元に、実際にシステムを構築します。ネットワーク機器の設置、ソフトウェアのインストールや設定、動作テストなどを行います。この構築時に行う内容は、インフラエンジニアの種類によって様々です。
保守・運用
完成したシステムが問題なく稼働するための監視や、問題が起きないようにメンテナンスをします。トラブルが起きた場合の対応も行います。IT分野においてインフラを担っている部分のため、24時間体制で監視が行われます。
インフラエンジニアのやりがい
インフラエンジニアは仕事内容が様々あるように、やりがいも様々。ここでは、代表的なものとして、インフラエンジニアのやりがいを5つ紹介します。
規模の大きな仕事に携わることができる
インフラエンジニアが携わる業務は、IT社会の基盤を支えるために必要不可欠なものです。そのため、ネットワークや、サーバー、セキュリティなどのシステム設計のプロジェクトは、巨額な予算と多くの人員を投入する大規模なものになりやすいです。規模の大きな仕事は社会に対して影響を与える物も多いため、達成感を持ちやすく、やりがいを感じることができると言えるでしょう。
システムの根幹に携わることができる
インフラエンジニアは、ネットワーク設計や、サーバーなどの通信機器の設置など、システムの根幹の部分に関わる仕事です。様々なもののベースとなる部分を扱うため、影響力が大きいことも、やりがいのひとつと言えるでしょう。
長く活かすことの出来る市場価値の高いスキルを身に着けることができる
インフラエンジニアに求められる知識は、OS、ネットワーク、サーバー、クラウドなど、専門的なものです。これらの知識を実務を通して身に着けることができます。変化のスピードが早いIT業界でも、その基盤となるインフラ技術が一気に変わることはあまり無いと考えられます。そのため、一度身に着けたスキルを長く活かすことのできる職であると言えるでしょう。
キャリアプランが幅広い
インフラエンジニアは市場価値の高いスキルを身に着けることができるため、頑張り次第で多様なキャリアパスが考えられます。プロジェクトの進行管理や課題解決を行うプロジェクトマネージャー、特定の分野に特化したスペシャリスト、ITインフラの構築や運用についてのアドバイスなどをするインフラコンサルタントなど、様々あります。知識やスキルを身に着けつつ、幅広い選択肢の中からキャリアを選択することができます。
新しい技術をキャッチアップしやすい
インフラエンジニアが活躍するIT業界の技術の進歩や変化のスピードはかなり早いです。担当するクライアントによっては、最新技術を取り入れていることもあるため、そのような環境でシステムを構築するためには、インフラエンジニアも新しい技術やスキルを学ぶ必要があります。そのため、新しい技術をキャッチアップしやすいとも言えるでしょう。