昨今話題となっているSDGsとは
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月の国連サミットにおいて加盟国全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際的な目標です。 この記事ではSDGsが掲げる目標のうち、再生可能エネルギーに関係するものについて解説します。また、O&M事業の取り組みとの関係についても触れていきます。
SDGsの目標と取り組み
SDGsの目標の中に、「エネルギーをみんなに。」というスローガンがあります。
私たちにとって電気はすでに欠かせないものであり、電気が使えないと産業や経済はもちろん、医療や教育といった分野の発展が遅れてしまいますよね。災害時をイメージすると、電気のありがたさは身にしみるものがあると思います。
電気を使えない地域では、石炭や薪などのバイオマス燃料に依存する傾向もあり、これらの燃料を確保するために森林伐採が行われて環境破壊につながるだけでなく、燃料使用時に発生する煙などが原因で健康に害もおよぼされています。人が健康に生活をするためには、電気を上手に活用していくことが極めて重要と考えられますね。
SDGsと再生可能エネルギーの関連性
経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、2021年、日本の電気事業者が発電している電気の多くは、石炭や液化天然ガス(LNG)などを燃料とした火力発電からのものです。さらに全体の発電電力量に対して、石炭は29.7%、液化天然ガスは37.6%も占めていて、石炭と液化天然ガスに依存していることがわかります。
石炭や液化天然ガスなどの化石燃料は、発電時に地球温暖化などの原因となるCO2(二酸化炭素)を発生させることから問題視されてきました。また、化石燃料は、植物や微生物の死骸から長い年月をかけて作られるもののため、近い将来枯渇してしまう点も問題視されています。これらの問題点をクリアするためには”クリーンなエネルギー”への移行が必要で、その問題意識から、SDGsの目標7「クリーンに」にも繋がっているのです。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーの定義と種類
再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、石油、石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった自然由来の持続可能エネルギーのことを指します。再生可能エネルギーは「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点を踏まえたエネルギーであり、「再エネ」という略称でも親しまれています。
再生可能エネルギーの種類には、以下のようなものがあります。
太陽光発電
太陽光発電は、太陽光パネル(太陽電池)を使用して太陽光を集め、電気に変えるシステムのことです。
太陽光パネルは屋根や壁、窓などに設置できるみなさんお馴染みのものですが、送電ロスが少ないことからメリットがあり普及が進んでいます。ただし、雨や曇りの日は発電量が半分ほどに減少することや、設備費用が高いなどの課題もあります。
ソーラーアップドラフトタワー
ソーラーアップドラフトタワー(ソーラーチムニー)とは、太陽熱を利用する発電所をいいます。太陽光で熱せられた空気を煙突(チムニー)に集めて気流を発生させ、その気流によってタービン(液体がもつエネルギーを回転エネルギーに変換する機器)を動かし、エネルギーを発生させるという仕組みです。
太陽光発電とは異なり、赤外線エネルギーの利用ができるのがメリットです。水が不必要なため、砂漠でも建設可能といった点がメリットです。
地熱発電
地熱発電とは、地下のマグマのエネルギーを利用して発電するシステムのことです。地下1,000m~3,000m付近にある地熱貯留層に溜まった雨水を地中のマグマを利用して温め、次に、地熱流体(高温・高圧の熱水、蒸気など)を取り出し蒸気と熱水に分けてます。さらに熱水を地中に戻し、蒸気のみをタービンで回して発電します。純国産のエネルギーであるため、世界情勢によって価格変動が起きにくいのがメリットです。
水力発電
水力発電は、水が高所から低所へ流れ落ちる力を利用して発電する方法です。
水力発電所の中にある「ダム式発電所」にて、昼間に高所のダムの水を低所の発電所内へ向けて流し込み、発電所内の水車を回して発電します。なお、夜間はダムの水を貯水することも可能な点で、昼夜問わずに役立てる点がメリットです。
風力発電
風力発電は、大きな風車から受ける風の力を利用して発電する方法です。
風を受けて風車が回ると、発電機内の増速機と呼ばれる機械が風車の回転速度を上げて、強いエネルギーを、発電機に伝えることで電気に変換します。他の再生可能エネルギーと比較すると、コストを抑えられる点がメリットです。
バイオマス発電
バイオマス発電は、木屑や可燃ゴミなどを燃やすときの熱を利用して電気を起こす発電方式のことで、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉から生まれました。化石燃料以外の動植物から生まれた資源のことを指します。植物は燃やすと二酸化炭素を排出しますが、加工前の植物が光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するため、二酸化炭素の排出量は実質ゼロともいえます。
再生可能エネルギーのメリットとデメリット
再生可能エネルギーの、メリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリットはやはり、なんと言っても環境に良いこと。エネルギー源が枯渇することなく、温室効果ガスの排出量も少ないことでしょう。また、エネルギーの供給場所を問わず、各地どこでもすぐに電気の調達が可能です。
一方、再生可能エネルギーデメリットで最も大きなことは、天候によってその発電量が変動することです。特に、太陽光、風力は季節や天候によって発電量が大きく変動します。 電気はためておくことができないので、需要と供給のバランスが崩れると、大規模な停電が発生するおそれがあります。 それを防ぐために、現在火力発電や揚水発電によってバックアップがなされています。
SDGsとも深い関係があるO&M業務
SDGs(持続可能な開発目標)と再生可能エネルギーは密接に結びついています。再生可能エネルギーの普及は、気候変動対策やエネルギーアクセス向上など、多くのSDGsを促進します。そして、O&M(運用と保守)は再生可能エネルギーの長期的な効率と持続可能性に欠かせません。適切なO&M戦略は、システムの信頼性を高め、コストを削減し、エネルギー供給の安定性を確保します。結果として、再生可能エネルギーの展開とO&Mは、持続的な未来のために重要な要素となるでしょう。