電気主任技術者は、電気のスペシャリストと言われるレベルの高い資格です。有資格者の需要は今後さらに高まり、将来的に人材不足になる可能性があります。将来性抜群で、長く働くことができる電気主任技術者は、どんな年代の人が活躍しているのでしょうか。どんな人が向いているのか、メリットを何かも含め、本記事で解説します。

電気主任技術者とはどんな資格?

電気主任技術者は、発電所や変電所、工場やビルなどに設置されている受電設備や配線などの電気設備の保守・監督を行うために必要な国家資格です。電気設備を設けている事業主は、その工事、保守、運用などの保安監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが電気事業法で定められています。
現在では、ほとんどの機械や設備は電気で動作し、電子機器で制御されているため、電気主任技術者はインフラを支えるためになくてはならない資格です。

国家試験が「電気主任技術者試験」と称されることから、最初と最後の文字を取って「電験」と略すこともあります。

電気主任技術者は3つに分類される

電気主任技術者は、取り扱うことのできる電気工作物の電圧に応じて、第1種、第2種、第3種に分かれています。

第1種すべての事業用電気工作物
第2種電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
第3種電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)

第3種電気主任技術者の資格があると、電圧が5万ボルト未満の商業施設やオフィスビルなどの受電設備を取り扱うことができます。

電気主任技術者の業務内容

電気主任技術者のメインの業務は、電気設備の点検作業です。具体的には、電圧や電流の計測・記録、絶縁体の抵抗の測定、非常用発電機の点検、配線のネジの確認などです。

また、ほこりなどによって電気設備が故障するのを防ぐための設備周辺の清掃作業や、電気設備の故障時や不具合、トラブルなどが発生した際の対応も業務に含まれます。

電気主任技術者は定年後も働ける?

経済産業省の資料「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」によると、電気主任技術者の外部委託従事者の約半数以上が60代以上となっています。

(出典:経済産業省「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」)

グラフを見ても分かる通り、60代が約31%、70代が約27%と、60代以上の方が多く活躍していることが分かります。

今後、再生可能エネルギー業界などの更なる発展により、電気主任技術者の需要はさらに高まります。そんな需要の高まりを考えると、将来的に電気主任技術者は不足する可能性があるため、今後さらにニーズの高い資格となっていくことが予想されます。

電気主任技術者の受験資格に年齢制限はないので、何歳からでも挑戦することができるのが特徴です。また、年齢不問の電気主任技術者の求人も多数存在するので、定年後の再就職も可能です。

さらに、電気主任技術者の資格があれば、独立開業も可能。独立すれば定年はないため、自身が働きたい年齢まで働くことができます。

資格があれば長く働くことができるのが、電気主任技術者です。

電気主任技術者の資格を取得するメリット

電気主任技術者の資格は、取得すれば「電気のスペシャリスト」として、多数のメリットがあります。

メリット①需要が高い

電気主任技術者の資格を有していると、電気事業法で定められた独占業務に従事することができます。独占業務とは、その資格を持っていないと携わることのできない業務のことを言います。電気事業がなくてはならない現代において、電気主任技術者のニーズはかなり高く、将来的にも需要が見込まれます。

メリット②将来人手不足になる可能性が高いため、長く働くことができる

経済産業省の資料「電気保安人材の持続可能な確保・活用に向けた制度のあり方について」によれば、電気主任技術者の有資格者は、2030年には約2,000人が不足するという推計結果が出ています。
今後、どの業界においても必要とされる資格である電気主任技術者。今から資格を取得し、実務経験を積むことで、安定して長く働くことが可能になります。また、その高い専門性と技術知識を活かして独立することも可能です。

メリット③就職・転職に有利

有資格者の高齢化に伴う退職などの影響から、各企業は電気主任技術者の資格保有者の人材確保に力を入れています。そのため、電気主任技術者の資格を持っていれば「電気のスペシャリスト」としてのアピールが可能。また、資格保有者がいなければ企業が独占業務を遂行することができないため、有効求人倍率に関わらず採用求人は多い傾向です。

メリット④高年収が期待できる

電気主任技術者の資格を持っているだけで、資格手当を受けることのできる会社があります。
厚生労働省の発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果によると、電気工事士の平均年収は506.8万円。電気主任技術者は、電気工事士を監督する立場でもあるため、電気工事士よりも年収が高いことが期待できます。
また、実務経験を積んだのちに独立した場合、年収が1000万円を超えることも可能であると言われています。日本における民間の平均年収が458万円(出典:国税庁『令和4年分 民間給与実態統計調査』)であることから、その倍以上稼ぐことが期待できるということは、高年収と言えるでしょう。

電気主任技術者はどんな人に向いている?

将来性抜群の資格である電気主任技術者は、一体どんな人が向いているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

責任感のある人

電気主任技術者は、電気設備の安全のための重要な立場を担う人材です。日々の業務が安全に繋がり、人々の生活を守っているという責任感を持って業務に取り組むことのできる人が向いていると言えるでしょう。

コツコツ頑張ることのできる人

電気主任技術者の主な業務は、電気設備の保守・点検です。
毎日の点検作業は同じでつまらないと感じる人もいるかもしれませんが、何も異常がない状態であることは良いことです。異常がない状態が続くということは、電気主任技術者の責務が果たされているということ。縁の下の力持ちとして、毎日の同じ作業でもコツコツと取り組むことのできる人が向いていると言えるでしょう。

コミュニケーション能力のある人

電気主任技術者は監督の役割を担うため、他の関係者に注意をすることや指示を出す場面もあります。施設所有者や他の工事業者など、あらゆる関係者と意見のやり取りを図る必要があるため、コミュニケーション能力のある人に向いています。

まとめ

定年後でも長く働くことの出来る電気主任技術者。資格を取得するのは難しいですが、取得すれば「電気のスペシャリスト」として、転職・就職市場で価値の高い人材となり、かなり有利となります。今後再生可能エネルギー業界などでの需要が増加する可能性が高いことから、将来性も抜群の資格です。また、資格取得を目指している人向けの求人なども存在するので、まずは実際の求人を見て、どのような働き方ができるのか、イメージしてみるのもオススメです。

リニューアブルジャパン社では、資格未取得でも実務経験豊富な講師から分かりやすく教えてもらうことができます。電気主任技術者を目指して、共に働きませんか?